アトピーの同級生

小学生の頃の作文で、”アトピース。”という言葉を作った子がいました。その子は私の同級生のNくんだったのですが、アトピー性皮膚炎という皮膚疾患を患った男の子でした。”アトピース。”とは、Nくんの特徴でもあったアトピーとピースをくっ付けた造語です。なぜNくんはその言葉を作ったのか。当時の私はただ流して聞いていましたが、今の私なら何となく分かります。
アトピーの症状は、乾燥性の湿疹による肌の痒みです。食べ物、ハウスダスト、衣服、遺伝などが主な原因として挙げられます。そして、Nくんの症状は恐らくほぼ全身に出ており、いつも腕や頭などのあらゆる個所を掻いては掻き過ぎて血を滲ましていた事が何度かありました。でもだからと言って、彼は虐められてた訳でもありませんでした。Nくん自身は努力を惜しまず、分け隔てなく誰にでも優しい男の子だったので、みんなから認められていたのでしょう。では、”アトピース。”が生まれた理由は何か。
それはきっと、彼の周りの人間以上にアトピー性皮膚炎という病気に対して気に病み、Nくん自身が多少の劣等感を抱いていたからではないでしょうか。アトピーというネガティブになってしまう思考をなんとかポジティブに考え、これは自分の個性だと言い聞かせていたように思います。推測の域を超えませんが、その言葉を思い出した時に私はそう感じました。
Nくんとは小学校・中学校と一緒でしたが、自分の病気について、それ以上語る事はなくなりました。全く気にしていなかった訳ではないと思いますが、弱音も吐けなかったんだと思います。自分で自分に言い聞かせた以上、アトピーを持った自分とちゃんと向き合い、受け入れようという強い意志があったのかも知れません。そんな彼を今、尊敬します。

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