絵と写真と著作権の話

Posted by sachi on 4 月 19th, 2008 filed in 雑記

以前にも、WOLF工房で呟いていた著作権のこと。
何年やってても、狼を描こうと思うたびにぶち当たる壁なのは、もはや宿命なわけで……。

自分が初めて著作権の壁にぶち当たったのは、もうかれこれ10年以上前のこと。
アウトドアメーカーに、縁あって絵の持ち込みにいったことがありました。
学園祭で展示するために描いた、自慢の狼の絵を引っさげて乗り込んだんです。元になった写真は、当然のごとく有名な写真家が撮ったもの。

結果は当然、「オリジナルならば使いたい」というもの。
著作権に抵触するので模写はNG。

ではどこからがオリジナルか。

「別々の写真のパーツを組み合わせて、コラージュして絵を描くのはNGかな?」というのが、向こうの回答だったと記憶しています。
自分としては、写真にインスピレーションを得て、自分なりの思いを託して描いた創作物だと主張したいところでしたが、お仕事としてリアルな狼を描くならばそうもいきません。

そこから自分の著作権に抵触せずに動物画を描くための試行錯誤と葛藤の日々が始まりました。

なお、写真をそっくりそのまま絵にかくことは複製になり、無断でやれば著作権(第21条複製権)の侵害。また写真をもとにして絵を書き、二次的著作物として認められる場合も無断では著作権の侵害になる。(21条) ――写真家のための著作権Q&Aより
……だそうです。

これはうろ覚えの記憶なので信憑性は低いですが、確かコラージュも「独創性」が認められれば、著作権の侵害にはならない、と何かで見たことが。動物画からはちょっとずれますけどね。

まあ結局、リアリティを追求した絵を描きたければ、一番いいのは自分で撮った写真を使うこと。
それができなければ、写真を撮った人の許可を得て描くこと。(撮影者がフリー素材発言をしているならば別ですが、注意事項はよく読むべき)
だけどこれはあくまで「模写」の話で、構図もレイアウトも光の当たり具合も、撮影者の創造性をそっくり真似する場合のことです。
例えば動物のリアルっぽいイラストを描くにあたって毛皮の質感の参考にするとか、動物のポーズや動きを参考に、なんていうのは著作権の侵害にはなりません。

なんにしても、写真はファインダーを覗いてシャッターを押せば「作品」になるわけではないということ、それを認識しておくことが大切なのではないでしょうか。

それを逆手にとって、作品未満のスナップを作品レベルに昇華する。それが「動物の肖像画描き」の付加価値なのではないかと思っています。

ああ、うん、でもですね……。
絵描きには絵描きの言い分があって、写真家さんに十分の敬意を払った上で言わせてもらえるならば。
絵には様々な表現方法があり、画材によって同じ「リアル」な作品でも、それを生み出す過程に絵描きの工夫や独創性があるわけですよ。
パステルという画材は本来ならば非常に融通の利く画材で、きっちり境界を分けて塗るような表現もできますが、向き不向きでいえばあまり向かないと思います。むしろパステル本来の持ち味を生かすのは、ふわっと色の境界の曖昧な作品なんです、たぶん。
それをあえて、パステルと色鉛筆でリアルさと精密さを目指した絵を描くというのは……理論上は十分可能ですが、実際やると結構なマゾプレイだと思います。まして、小さい作品でも間近で見て精密さにびっくりする絵を志してたものだから、そりゃーもう立派なマゾですよ。しかも絵だと思ってもらえないなんてことも度々(;_;)

著作権から話がずれましたが。
結局いつも行き着く結論は、自分の場合は「初めに写真ありき」かなぁと。
すごく素敵な狼の写真に感動して、その衝動にインスピレーションを得て「この瞳の輝きや毛皮の質感を自分の手で描きたい!」そう思ったのが――パステルと色鉛筆でリアル絵を描く――原点だったように思います。
もちろん狼が好きだったから好んで狼の写真を集めていたわけで、そうなるとどっちが先なのか永久ループに陥るのでそれは置いておくとして。

だけどなぁ…。
精密さを売りにするなら、大きい画面に描いて、離れて見て驚くほど精密っていう方向性が正しいんだと最近やっと思えるようになりました。で、近くで見て「ああ、絵だ!」っていう。

間近で見ても隙のない限りなく写真に近い絵を志していたから、ぎゅーぎゅー自分の首を絞めてたんだなぁと。
著作権からずれてきたので、そのあたりの話はまた別の機会に。


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