2009 年 2 月 1 日

『太陽の塔』森見登美彦

カテゴリー: 読書 — shamdiary @ 11:55 PM

久々の大当たりな一冊。苦笑爆笑しつつ、ほんのり切ない気持にもなれる、そんな「負け犬達の青春小説」。

処は京都。時は冬。世間は独り身には耐え難い雰囲気を醸し出す。そう、クリスマスシーズン。時代を感じさせるような描写があるものの、舞台は現代である。京都だから、一昔前の感じがするのか…いや、きっとそうじゃない。主人公が大学生でありながら、いわゆる「厨房」というやつなのだ。

学生の頃は、時間があるから独りだと生きるのも日々闘いなのだ。読みながら、自分の恋を振り返り、独白し後悔し、そして開き直る。「人生はそうやって繰り返すのだよ」と。

非常に豊富なボキャブラリに裏打ちされた、「妙に」リアルな心理描写の数々と、正直どうでもいい、主人公たち目線での大事件。これだけ濃密な小説は久しく読んでいなかった。間違っても、すがすがしい気分にはなれない類の書だが、ここまでオープンにされると、嫌らしさは感じない。

出逢いは偶然だけれど、なんとなく必然のように感じる。そういう出逢いは、今後も自分の中で大きな位置を占めていくんだろう。

2009 年 1 月 25 日

『リーダーになる人のたった1つの習慣』福島正伸

カテゴリー: 読書 — shamdiary @ 9:44 PM

別々の赤字カラオケ店の経営を任された、経営者の卵3人。彼らのとった方法と、周囲の人の関わり方から、リーダーに必要なポイントをストーリー風に解説しているビジネス書。ストーリーはベタでも、分かりやすく、かつ感動でき得るものになっている。

この本で書かれている話は、事実に基づいたものだそうだ。もちろん、多少の脚色はあると、著者自身が語っている所が、真実味を増させているような気がする。

まず自分から動くこと、人がついてこなくても、自分が動くこと。

人を変えるには、人を感動させること。

この方法ではダメなのか?と思うのは、「これくらいやればいいだろう」という思い込みが無意識の内に出来ているから。

 

私は、学生時代に学習塾と家庭教師で中学生を教えていた。

学習塾の方は、出来の悪い生徒と言っても、ある一定のレベルを保っているのだが(入塾試験を課すわけだから当然だ)、家庭教師は、まず勉強させるところから始めないといけないことが多かった。

私と一緒に勉強するのであれば、大概の生徒は真面目に取り組む。分かりやすい教え方が出来る(塾では生徒の前に出るまでに3か月の研修をこなし、生徒の前に出ても、授業毎にビデオを取られ教え方の指導をされたので、それなりに指導力はあるつもりだ)し、怒れば怖いというのもチラと見せているから、ついてきてくれる。

が、勉強をすること自体を前向きにさせることはできても、そこから一人になった時、どれだけ頑張れるかは、生徒個人に掛っている。自分が努力家でなかったからか、私は努力の仕方は教えられなかったのかもしれない。

何かを伝えるとき、指導するとき。そういうときは、人を感動させればいいのだ、と本書には書いてある。

その通りだと思う。そして、その感動させようという時、心からの気持ちがなければ、人は感動しないものなのだ。それは、感受性の強い時期の子供たちからも、気づかされていたこと。そのことを最近は忘れていた。そう、大切なことは感動なのだ…そして、誠実さと思いやりである。

2009 年 1 月 24 日

『みずうみ』よしもとばなな

カテゴリー: 読書 — shamdiary @ 9:30 PM

よしもとばななの小説を読んだ。彼女の名前はもちろん知っていて、作品もいくつか書店で手にとり数ページをめくったことくらいはあったかと思う。でも、今までじっくり読んだことはなかった。なんというか、作品の中に日本の家庭の匂いがあって、たぶんそれが私を遠ざけていた…私が遠ざかりたかったのだと思う。

そんな私が本書を手に取った理由は、タイトルが「みずうみ」だったから。私は草木や海や湖といった自然物が好きなのだ。そして、それらに対して、思いを馳せるきっかけを与えてくれる小説やエッセイが好きなのだ。だから、なんとなく本書を手にとった。そして、パラパラめくり、読んでみることにした。

思ったより雰囲気は嫌いじゃなかった。結局今まで手に取ってこなかったのは、食わず嫌いなだけだったのかもしれないと思った。内容も、よかった。

けど、読むことで何か自分の中に残ってくれるという期待は、ちょっとはずれた。

何事にも期待は持たず、ただそのものを受け入れるような生き方で在りたいのだけど、なかなか難しい。。

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2009 年 1 月 5 日

『きみの友達』重松 清

カテゴリー: 読書 — shamdiary @ 1:34 AM

流星ワゴンで知り合った、重松さん。君の小説『きみの友達』を読んでみたんだ。(『君の友達』風に書いてみました)

2008年に映画化されたらしいけれど、私は知らなかった。ごめんなさい。

タイトルや題材から、ちょっと子供向けかなぁと思ったのけど、流星ワゴンは大人の方が沁み入るような話だった。だから、この本を手に取ってみることにしました。2日くらい掛けてじっくり読んだけど、最後の方は、もう涙ぐんでしまって、いっきに読もうとしてるのに、何度も止まって。。これでも今年24歳になるんだけどなぁと、自嘲気味に笑えてきました。

 

1月5日(月)から仕事初め。決して、仕事のモチベーションが上がるようなタイプの話ではないけれど、それでも、前日にこの小説が読めてよかったと思います。心の中で、何かが変わるような、そんな感覚。久々のいい出会いでした。

2008 年 10 月 31 日

『ビジネスの基本を知っているSEは必ず成功する』前田 卓雄

カテゴリー: 読書 — shamdiary @ 2:11 AM

こういう本を手に取ってしまう時点で、会社に毒されているのかもしれない…と、若干の抵抗を覚えながらも、結局読んでしまった本。内容はSEがどうこう、というよりも「技術者」であればIT業界に関係なく応用しやすいものかと思います。

自分に対するSWAT分析をすることを勧めていたりして、技術寄りの話ではなく、「社会人として」どのように自分を高めていくか、という自己啓発の要素が強い本だと私は思いました。

本書には書いてなかったと思うのですが、私は、より高みを目指すためには「ライバル」」を持つことが大切である、という持論思ってます。まあ、これだけだとよくある一般論なのですが、ライバルの対象が同期じゃないということがポイントかなと。同期は仲間です。互いに高めあっていくよりも、同期とは、互いに助けあっていけばいいと思ってます。

私にとってのライバルは、自分の上司。それも、年が少し上の上司ではなくて、自分の目標とするレベルにいる人が、私のライバルにあたります。今の会社の階級でいうと、マネージャーの中に数人のライバルが。。

同期とか身近な人がライバルだと、ちょっとしたことで、すぐ追いつき追い越されで、軸がぶれやすいのかなと。目指す位置にいる人がライバルだと、その人に認められようとすることが、すなわち自分を高めることになります。感服しちゃうような人を見ると、負けたくないと思うんですよね。私の場合だと、手が届きそうだと「こういう努力をすればいいな…○か月経てば同じくらいになれるだろう」そんな風に思って、逆に頑張れなくなるんです。プログラムを書いていても、方法が分かってしまうとコーディングする前にやる気がなくなってしまう…方法を思いつくまでのプロセスに遣り甲斐を感じるんですよね。

成長する為に、より高みへと誘って(*)くれそうな人を、出来るだけ多く見つけたい。それが社会人として、「成功する(?)」要素の一つになるんじゃないかなぁって、私は思うのだけれど、どうですかね。

*誘っては「いざなって」と読んでもらいたい。

2008 年 10 月 19 日

『ラストバトル』石田衣良

カテゴリー: 日記, 読書 — shamdiary @ 11:05 PM

直木賞受賞作家、石田衣良の『ラスト』という短編集の中の一作品『ラストバトル』。

先週手術した目の調子がイマイチで、本が読める状態ではなかったが、突然の読書熱に襲われ朗読されたもの(ネットで正式なものが買える/決して海賊盤じゃない)を購入。短編集なので、本の1時間と数十分で朗読も終わる。

世界観としては、とりあえず暗い。物語の舞台となる、新橋SL広場を、こうも暗く描けるものか…といえるくらい暗い。ただ、鬱になる系統の暗さは持っておらず、その日一日の気分を一新したくなった夜などに読むといいかもしれない。

扱われている題材が題材なので(借金を背負い、組合系列の高利貸しの看板持ちを日給1000円でやらされている男が主人公である)、容易にはリアル感が持てなかったが、乏しい想像力を総動員して世界に入り込もうとした。そのお陰で、自分(主人公になりきっている状態である)の将来を思い、背筋がぞっとするところまでいけた。なんとも、怖い世界観だと思う。

 

今日、目の検査のため、病院のある有楽町まで行くことになっていた。有楽町から新橋までは、距離で1Km、徒歩でも15分弱くらいだろう。そう思い、新橋のSL広場を見てから帰ることにした。

夜のSL広場は、私の思っていたイメージよりも、ラストバトルの世界観に近い場所だった。ここで、看板持ちをするのか…と、なぜかしみじみと思った。まだ、物語の世界を抜け切れてなかったのかもしれない。

 

本を読むたびに、世界のとらえ方が変わる。。どれだけ他からの影響を受けやすいのかと少し自嘲気味にもなるが、それでも、そういう自分は嫌いじゃないなと、物語と同様、少し明るくして今回のエントリを締めさせていただくとしよう。

2008 年 10 月 9 日

『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ

カテゴリー: 読書 — shamdiary @ 1:13 AM

二度読みたくなる小説。そういうコピーに誘われ手にとったから、薄い文庫だったが、もろもろ4時間くらいは掛けて、じっくり読んだ。ただ、感想としては、正直「よくわからなかった」。

性描写がやけにリアルなのは、きっと携帯小説などと同様の流れを汲んでいるのだろう。古典や純文学などにある奥ゆかしさもないし、感覚的な部分を含めて、事細かに描写しているものだから、実際以上のリアリティは得られないと、私はなんかは思う。ちょうど、写実主義の絵画がリアリティという面では写真には勝てないし、ましてや本物には勝てないだろう。それと同じだ。

ただ、書いてある内容が、「なんとなく自分と被るなあ」と感じる人が多いだろうなとも思う。だから、月に平均で8~10冊は本を読むなんていう、私みたいな人間ではなく、もっと現実世界に生きている人には受け入れやすいだろう。

 

ぱっと読むと、ある青年の恋愛を淡々と、ところどころ生々しく描いているだけの作品。

ただ、いろいろと深読みはできそうだ。そういうことが好きな人に向いている本だと思う。読むだけで感動するようなタイプの本では決してない。自分で勝手に解釈をして、伏線を探して…というような、読み方をしたい人向けだろう。そういう人へ、本書の最後2行目に「問題」も用意されている。

 

イニシエーションは「通過儀礼」という意味で本書では使われている。だから、タイトルを訳せば「通過儀礼としての恋愛」となる。恋愛に限らず、全てのことは通過儀礼だと私は思う。というか、最終目的地が見えてる人生は嫌だ。自分で、訳も分からず、あがいて、努力して、そして適度に休みながら、楽しく生き抜く。

 

まぁ、一つだけ確かだといえることは「通過儀礼」だと感じるのは、その出来事が終わった後か、もうすぐ終わる時だろう。「通過儀礼」だと思いながら、恋愛をしてたら、それは相手に失礼であるし、恋愛以外のことでも、きちんと向き合えない。そして、物事が終わったら「これは通過儀礼だったから」と、そこから得られたものを振り返ればいいと思った。

そんなことを考えるきっかけになる一冊だった。

2008 年 10 月 1 日

『最後の授業』ランディ・パウシュ

カテゴリー: 読書 — shamdiary @ 12:29 AM

ランディ・パウシュ 1960年10月23日-2008年7月25日

つい2か月程前、この本の著者は亡くなった。文字通りの「最後の授業」は、今もネット上に動画で流れている。

 

動画を見て、書籍を読む。両者は、内容が被っている部分もあるが、同一のものではない。書籍だけを読むより、動画を見てから、その後に書籍を読んだ方が、内容が心に沁みるかと思います。

夢を実現する為にどうしたらいいのか、どのように困難に立ち向かうのがいいのか、そのようなことが書いてある。決して珍しい内容の本ではない。でも、それが氏の一生から紡ぎだされた言葉で語られる。心に刻んでおきたい言葉が、いくつもある。

それらの言葉は、ずっと忘れないでいたいなぁって思います。私にとって、この動画と書籍は、ずっとに大切にしたいものになりました。

2008 年 8 月 24 日

『水辺にて』梨木果歩

カテゴリー: 読書 — shamdiary @ 11:44 AM

梨木果歩のエッセイ。物語が生まれる瞬間、その時の物事の感じ方とか、そういうことについて書いてあります。カヤックというボートの一種で、水と一体になって過ごす時間。その中で彼女が見たもの、感じたもの、触れたものや人。そういう自然と人とに溢れた本でした。

最近、私は「静かな人」になりたいなあって思うことが多くなりました。人と賑やかに騒いでいる時間も経験しているし、それが楽しいということも知ってる。でも、自分に合ってるのは静かに過ごすことかなと感じ始めています。性に合ってると言えばいいんだろうか。

カヤックで漕ぎだす、

豊かで孤独な宇宙。

そこは物語の予感に満ちている。 

『水辺にて』の帯に 書いてあった文。『豊かで孤独な宇宙』か。今の私にしっくりくる言葉だなと思いました。まあ、この言葉が本の中にあったは覚えてないけども…(これは梨木さんの言葉なのかな?w)

私もカヤック始めようかなぁ・・・って気になる本でした。

2008 年 8 月 12 日

『この庭に 黒いミンクの話』梨木果歩

カテゴリー: 読書 — shamdiary @ 10:31 PM

海の中に庭があって、そこに雪が降ってて、黒いミンクと少女がいて、その一匹と一人と触れ合う中で、主人公のミケルは何かに気づく。そんな感じ(あくまでも「感じ」です)のお話。書かれている内容では、舞台は海の中ではないのですけれども。でも、私は、なんとなく「海のにおい」を感じます。

挿絵も素敵な、不思議な内容の本。最後まで読めば、梨木さんらしさが溢れてきます。途中は、「なんだからしくないなぁ」って思ってたんですけどね。(梨木さんの話の中で、酒に逃避している人間の姿を見ることになろうとは!!笑)

でに、こういう世界観、いいなぁ…

子供のころから、私はどちらかというと「落ち着きすぎていた」ので、現実から離れた世界(生身で空を自由に飛んだりとか、動物と話したりとか…子供なら多くが考えるような世界)を見てこなかったんですね。だからこそ、そういう世界を書いた作品に憧れるんです。羨ましいな…と。あ、ドラゴンボールのような飛び方なら、夢見たりもしましたが(ちょっとというか、だいぶかけ離れていますね)

一応書いておくと、「りかさん」「からくりからくさ」を読んでから、その後日談として読んだ方が、抵抗はないかもしれません。そうじゃないと、最後あたりで迷子になってしまうかもしれない…「え?これで終わり?」と…「何が言いたいんじゃあ!!!!」と。。

私の中では、このお話も「受け入れる」ことについて書かれていると思っています。もしくは「何かを受け入れる過程」について書かれているか…

どちらにせよ、示唆に富んだいい本だと私は思います。

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