肘関節の研究
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倒れた木を倒立させようとした場合、通常なら点線の位置あたりにロープをかけ引っぱるのが理想的な位置になるだろう。しかしロープを根元にしか巻きつけてはいけないという条件があった場合を想定して頂きたい。この状態が肘関節の構造と類似しているのである。ロープは上腕 二頭筋が担当することになる。それは物理的に考えても非常に不合理な倒立のさせ方である。しかし肘関節はいとも簡単にそれをやっているのである。ロープが 上腕二頭筋であるとするなら180度~90度の間、かなり大きな負荷が牽引する力となってかかるはずであるにも関わらず上腕二頭筋の筋力が収縮するのは 90度以降ということになる。人間の手は1/1000ミリを感知する能力をもっているが、これを感じとる為には手全体も微妙な動きをする必要がある。その構造から考えても根元に巻きつ けたロープの張力だけで肘関節を動かしているとは考えにくい。例え上腕筋が補助となって二本のロープでひきあげてもそれを実現させるのは難しいだろう。 ロープを引っぱるという構造だけなら木の先端を微妙にコントロールすることは難しいと考えられるのである。肘関節の場合、根元が完全に固定され、それが滑 車状になっている木と考えられるが、それでも1/1000ミリという誤差を感知することはロープの張力を変化させるだけでは不可能でろう。 そこで根元にクボミをつくり根元をそのクボミに押さえつけるような働きをしながら木の先端をコントロールするようにすればロープによる張力だけではなく木 の先端をコントロールすることができる。 根元の先端を固定しつつクボミと木が接触する部分を左右に移動させられるようなローラをつけて、クボミに押さえつける力を発生させれば先端を微妙に調整す ることは容易くなるだろう。肘関節にもこのような構造が作られているのではないかと考え、その構造が単純模型で現せばどういう形になるのかを想像し、肘関節の構造の解明に努めた。 そして理論だけではなく臨床的にそれが正しいかどうかをある程度証明する必要がある。 肘関節のエコー画像と筋力検査を用いて人間の身体の構造を再考した。 |
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上 腕二頭筋は上図の青色の点線の位置で赤斜線の円のところから引っ張る形になる。木の根元の先端を上下に働く力をかけることで木の先の制御がしやすくなると 考えられる。また それが左右にぶれないように周りを固定させる必要がある。ロープを上下にさせる力が働けばロープは左右にその力を逃がそうとする力も働くからである。この 構造の良いところはロープを上下させれば、引っ張っているAの張力を変化させないで梃子の原理で力を得ることができる。 また大きな負荷がかかってもそれに対処できるようなトルクのある力が発生するだろう。更に上から張力を発生させるロープを眺めた場合、クボミと接触している木の支点が横にズレれば、木に縛ってあるロープと引っ張るAの距離が短くなり、 ロープの木を倒立させようとする力は更に強くなる。180度から90度の間、上腕二頭筋があまり収縮しないといのは支点を上下や左右にズラせることによっ て距離を変化させることでロープの長さが変わり、結果的に木の先端が上にあがったり下がったりする力を得ているからである。この場合、引っ張っているロー プは一定の張力を保ったままにして引っぱる位置さえ変えなければ結果的に木は持ち上がるだろう。しかも微妙に持ち上げることができる。これは自動車のロー ギアのような働きで大きなトルクを発生させる構造になっている。また上にあげた場合横にズレない為の土台として上腕三頭筋、腕橈骨筋、長短橈側手根伸筋と いう伸筋群も関与していると考えられるのである。これも実際にやってみるとわかるが、上腕三頭筋は肘関節の曲げ始めで筋肉が膨隆しているように感じられ、 肘関節を最後まで屈曲するとあまり膨隆していないように感じられる。筋紡錘やゴルジ腱器官という説明もあるが、神経的な説明よりもっと単純な構造としての 働きがあるのではないかと考えられるのである。エコー画像を参照して頂けば土台となって支えている様子がよくわかる。この方法でしかロープを木の根元に巻きつけた場合、先端をうまくコントロールする方法はないだろう。これは木の根元付近にしかロープをかけられず、それで いて大きな応力を発生させ先端を1/1000ミリの単位で感知できる程の正確さで動かさなければならないという条件を全て満たす為の必要最小限の条件では ないかと考えられる。 しかし一般的な説明は筋肉が収縮し、関節が動くというものばかりである。この理論には再考の余地があるといわなければならないのである。下図は一般的な説 明によって動く関節の動きを単純な図で現したものである。関節という支点はあるが、引っ張る(筋肉が収縮する)という能力だけでは、ロボットのような動き になってしまうのは目に見えている。ロボットダンスのような動きを人間は実際にすることができるが、自然な形で動かしている状態とはいいがたい。人間の関 節には様々な動きを許容できる機能が備わっているのである。そこには単純な説明では到底説明しきれない何かが存在していると思うのが自然な考えであろう。 人間はとても素晴らしい動きをするのである。それを忘れ単純な理論のみに執着すれば臨床では役に立たないのは当たり前である。筋肉は確かに収縮するが膨張 もする。膨張するというのが、この考えにおいて一つのキーワードとなることを忘れてはならない。生体の中ある器官は解放された器官ではない。皮膚に包まれ、常に圧力がかかっているのである。 解放された空間で起こっている現象とは違う動きをしていると考えられる。その中で筋肉は収縮し距離を変えるだけでなく膨張し他の器官に圧力をかけるという 作用が生じる。圧力をかけられた器官は密封された中で行き場を失い思った以上の力が発揮されると考えれば膨張することで得られる筋力も一つの大きな力にな るのではないだろうか? |
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関節の働きについて今まで述べられてきた話は、全て肘の支点が動かない状態を想定して筋肉の作用が述べられてきた。 しかし、肘関節を全く固定したまま動かすというのは人間の身体の自然な動きに反する動きであり、通常はあまり起こらない。理論的にはそのように動いてもお かしくないのだが、実際にはもっと違う作用があると考えた方が自然である。理論的な話だけを考えようとするから関節の異常の原理を捉えることができないのではないかと思われる。 実際肘を反対の手でおさえ肘関節を屈曲させてみると何かを支えにしていないと反対の手が肩の伸展方向におさえられるような動きが僅かに働いてしまう。 この動きをなくさせようとすると肩関節をやや屈曲させるようにしないと手先が左図のように孤を描きながら動かすことは難しい。 |
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理論的な動きは上図のような動きを想定しているが実際にはこの動きは関節の動きとして難しい動きになっている。 |
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左図は長軸方向でとらえたエコー像である。上腕二頭筋の腱がイメージどおりならそのまま橈骨の尺側あたりにつくはずであるが、腕橈骨筋がそれをさえぎっているように見える。 左側は上腕筋の一部とその上が上腕二頭筋腱である。橈骨につくはずの上腕二頭筋腱の端が不明瞭になっている
短軸方向の図この位置あたりに上腕二頭筋腱がくっつくはずである。 腕橈骨筋が上からおおいかぶさっているのがわかる。円回内筋も押さえるようにしている。 また長短橈側手根伸筋も屈側までおおいかぶさっているようになる
二頭筋腱停止部あたりには腕橈骨筋、円回内筋、長短橈側手根伸筋、回外筋等の筋肉がまわりから圧迫されるようにして橈骨に停止している。 そして手首を回内外、伸展、屈曲、外内転させるとこれらの筋肉が緊張し腱の位置を変化させると考えられる。
肘関節の上腕二頭筋腱の皮膚上に伸縮性のないテープを貼った図であるが、腱の尺側側に貼った場合と橈側側に貼った場合ではその筋力に差がうまれている。ま た前腕回外位と回内位でも腱の尺側に貼った場合と橈側に貼った場合での差がうまれている。 この事実によって刺激の与えるポイントと異常点の認識というのが重要な診断ということになってくる。それが決まれば大きな力を加えないでもあきらかな変化 が望めるのである。刺激が極小の方が患者と術者に大きな影響を与えないので組織に対して侵襲が少ないことになる。鍼刺激も皮膚の表面を接触する程度でも充 分であることに気づくのである。




