スパイラルMK5の話が多かったので、単純な姿勢の話をしたいと思います。
単純といっても詳しく書けば非常に複雑な話になってしまいます。今までの正しい姿勢の発展型の話をしてみたいと思います。正しい姿勢は、一般的には、見た目に奇麗な姿勢のことですが、姿勢の悪い人が、その姿勢をとろうとすると長時間は続けられません。
正しい姿勢の基準は、10分から15分ぐらいジッと同一姿勢をしても、つらいと感じない姿勢のことです。そして、そのまま長時間でも続けられると感じることができる姿勢が正しい姿勢といえます。無理やり行う姿勢は、30秒と同じ姿勢を続けられません。
楽な姿勢をとれば長時間座っていられると考える方が、ほとんどだと思いますが、実際にはそれは間違いです。ダラッとした姿勢をとって座っている時は絶えず体勢を変えながら座っているのに気づくと思います。だいたい10分も同じ姿勢をしていると次の姿勢にうつりたくなってくると思います。しかし正しい姿勢は10分から15分ぐらいたっても、もっと頑張れるなと思うことです。
ただ、正しい姿勢を長時間続けるのは、ある程度精神的な緊張感が必要なので緊張感がとぎれると続けられません。つまり正しい姿勢は肉体的な疲れによるものではなく、精神的なものです。ここが楽な姿勢と正しい姿勢の大きな違いです。
楽な姿勢の方が精神的に楽なので、長時間続けられると錯覚してしまいます。しかし、そのままでは長く続けることは困難です。僅かずつでも体勢を変えることを余儀なくされます。それに対して正しい姿勢は、最初にある程度の緊張感が必要なので、最初から長時間は続けられないと思い込んでしまうので、尻込みしてしまうのです。
この点が非常に重要です。また正しい姿勢をとるのは、ある程度の緊張感のみが必要なのであって、無理やりの緊張感を作り出さないように注意しいないといけません。無理な緊張感を作ってとり続けることは肉体を必要以上に疲労させてしまうことです。それは長くは続かないので、正しい姿勢だと思い込んでいても結果的には正しくない姿勢になってしまうということです。
正しい姿勢は、個人的に違いがあります。
例えば猫背になっている人は、胸椎5番あたりが頂点となって曲がってしまうので、そこを中心にして反らすことができません。反らそうとすると胸椎5番あたりを動かさないで腰椎の上部を大きく曲げて伸ばそうとしてしまいます。つまり曲げなくて良いところを曲げて運動不足になっているところは伸ばさないようにします。
これではバランスが悪くなってしまいますね。バランスが悪くなることによって疲れを伴ってしまうのです。
バランスの悪い人が運動を急激に行うと疲れが酷くなってしまうのはそのためです。ちょっとしたことをやっただけで疲れるという人も同じですが、そういう方はバランスが悪いのだと考えて下さい。バランスを良くする意識を持って姿勢をやらないとどれだけハードな運動をしても体力はつきません。ただ運動をすれば良いと考えるのは大きな間違いということです。
一般的に猫背は肩凝りになってしまうから猫背にしないようにすることが望ましいといわれますが、猫背にしないためにはテクニックがいるのです。そしてそのテクニックは運動の方法ではなく、意識の集め方なので、それを知らずに運動だけをやっていても効果はあがりません。
こういう運動をすると猫背が治るというような触れ込みの体操があると思いますが、実際には、ある一定程度は良くなっているように見えても注意深く見ると、ぜんぜん治ってない場合が多く、その運動をしないと元に戻ってしまうことがほとんどです。何故なら本当に動かさなければならないところを動かしていないからです。本当に動かさなければならないのは、筋肉ではなく意識です。意識が動いて筋肉の初期動作が起こります。意識を集めなければ動かしたい筋肉の初期動は動かず、動かしているつもりが他の筋肉を動かしてしまうということになります。
これが代償運動なのです。
この代償運動をさせてしまうと動かしていると錯覚します。目的の動きを明確に動かすためには明確な意識が必要になってくるのですが、意識していないと、どんな形の運動をさせても決して動かせません。
よくテレビで、こういう運動をしなさいといわれ、タレントが体操しているのを見かけますが、同じ運動をしているのにそれぞれのやっていることが全く違うように私には見えます。使えない筋肉は全く使わず、使える筋肉だけ使って運動しているからです。そんなことなら、使っている筋肉を休め、使わない筋肉のみを意識的に動かした方が余程、バランスの良い運動になると思います。
しかし意識的に動かそうと思う筋肉は普段から動かしていない筋肉なので、簡単には動きません。まずは意識を集めるように訓練しないと動かしたい筋肉の初期動は起こらないということになります。
また個人的に動かしたいところは、その人によって違うので、一般的な何々体操というのは、良い結果を生む人とそうでない人との差が大きいと思います。大きな運動ではない意識の運動は、身体に対するダメージが少なく、ピンポイントで集中させることができるのです。
ここが意識を使った運動とそうでない運動の大きな違いといえます。
大きく動かす運動は、ほとんど表面の筋肉のみしか使っておらず、細かい微妙な筋肉は使わないでいます。先程の猫背の例でもわかるように、猫背の人の胸椎5番あたりを僅かに伸ばそうと思い、後ろから指先で少し押して補助してあげてもいっこうに動こうとしません。まわりの筋肉をいくら使っても目的の筋肉を使えないのですから、バランスの良い運動には決してならないということです。
前述したことを肝に銘じていただき、やり方を説明します。
まず肩の力を抜いて普段より少しだけ背筋を伸ばすようにしてイスに座ります。肩の力を抜くというのは肩を若干下に下げるようにすると力の入っている人は抜きやすくなります。それと同時にやや後ろ方向に肩甲骨動かそうと意識します。
しかし、やってはならないのは見た目に動いたと思う程動かしてはならないということです。ほとんど動かさないで僅かに動かし、そのことだけに意識を集中させます。つまり考えるということです。決して他のことを考えないようにします。
禅の修行みたいですが、一つの関節に意識を集め、そこが微動だにしないように注意深く見守り続けることです。
如何ですか?
やり方は至って簡単です。しかしやってみるとわかりますが、色々な妄想が頭の中を駆けめぐり、ちょっと違うことを考えただけで肩の位置が微妙に変わってしまうことに気づきます。肩の力を抜くということだけに意識を集中させることが、いかに難しいことであるかがわかると思います。
なるべく集中するだけで完全でなくても構いません。いえ、完全になることは不可能なので完全に意識を集中させてはいけないのです。不完全なまま意識を向け続けるというのが正しいやり方です。
人間は意識を一点に集中させ続けることはできません。意識しつつ他のことも考えてしまったりします。実はそれが正しいのです。違うことを考えて意識がぶれたら意識しなおせば良いのです。何度も何度も意識しなおしていると、以前より、意識しやすくなっている自分に気づくと思います。
そうなったら10分以上、このまま座り続けることができ、しかも何時間でも座っていられると感じるようになってくるのです。
こうなったら後は時間が過ぎるのをまつだけですが、身体が軽くなってくるので楽しくて止めたくないような感じにさえなってきます。
瞑想をしている時のような感じになり、意識に変化があらわれてくるのを感じたりします。最初は10分ぐらいやってみて、その後の身体の変化を感じ取ってみて下さい。きっとスッキリした感覚になっていると思います。そして肩の凝りを再度感じて貰えれば肩凝りが楽になっているのを感じると思います。
肩凝りは、単純に肩の血流不足です。それが何の原因であっても肩の血流が改善すると肩凝りは楽になります。他に原因があっても一次的にはこの方法で楽になるはずです。
なぜなら肩に血流が集まりやすくなるからです。単純な肩凝りならこの方法で十分長い時間肩凝りを知らない身体になれると思います。
毎日少しずつ訓練すると肩に意識を持ってくるだけで、こんなに肩凝りが楽になるのかと思って貰えると思います。