Archive for the ‘漢方薬’ Category

12 月
08
Filed Under (漢方薬) by omisono on 08-12-2010

風邪による眩暈

あきらかに風邪を伴った頭位軸性の眩暈(頭の位置を変えると眩暈がする)症状の男性

朝から急激な眩暈と共に嘔吐、下痢があり、胃腸風邪を伴っていると判断しました。漢方薬で調整してみようと思い、選んでみるとやはり手足より腹部、腰部、胸部に裏寒がありました。防衛と攻撃の考えから裏寒を取り除くのを優先させ、補気剤である六君子湯を手に持たせると後頭部から背部、胸部、腹部を中心に異常反応が減弱しました。



六君子湯は様々な効果がありますが、基本的に悪心、嘔吐の基本書法である二陳湯(化痰剤)を含む人参剤(補気剤)です。気を中心に胃腸の調子をあげて水分代謝をよくさせようとする方剤ですが、広範囲に効果がありました。

しかし、これだけでは反応が全て消える訳ではなかったので、眩暈に関する追加処方をしようと考えました。眩暈に対して水分代謝をよくする傾向のある胃苓湯を持たせてみると綺麗に全体的な効果があったので、六君子湯 +追加 胃苓湯 という組み合わせで気功治療をした紙を持たせました。

1時間程、横になり、起きると発汗して眩暈も吐き気も止まっていました。発汗させることができたのが良かったと思いますが、かなり酷い眩暈だったので、これほど短時間で治まるとは思っていませんでした。

五苓散は血行促進しながら利水効果を発揮し、浮腫や水溶性下痢、悪心、嘔吐、眩暈などに広く用いられます。特に急性のものは良く効くらしいのですが、今回のような急激な症状にもかかわらず、手に持たせても反応は変わりませんでした。そこで。柴 苓湯(小柴胡湯+五苓散)や胃苓湯(平胃散+五苓散)で優位診断すると胃苓湯が有効と判断しました。急性でも慢性的な漢方薬が適応だったという例です。



やはり本を読んだだけでは全くわかりませんね。それとこういう組み合わせが一般的に行われているのかどうかは全くわかりません。しかし気の診断上は効果が大ありでした。また症状も顕著に緩解したので、間違いないだろうと判断しました。

漢方薬は何を先に治療し、次に何を治療するのかを決めることがとても重要です。この場合も胃苓湯を先に持たせてから六君子湯を持たせても効果は少なくなってしまいます。どちらが先なのかを明確にしておかないと効果は発揮できないということです。

こういう現象も本を読んだだけでは解決しませんね。

筋力検査で調べるとハッキリわかります。胃腸に反応があったとすると適応漢方薬を手に置くと即座に胃腸反応は消失するか減弱します。しかし、追加処方が必要な場合、胃腸部位ではなく他の部位(例えば手足)に反応がでてきたりします。鍼灸治療ではよくあることですが、無理やり痛みのある部分に治療をすると他の部分に異常がでてくることがあります。それと同じだと思います。しかし追加処方の必要ない適応漢方薬は、一つで全く反応が消失してしまいます。

また追加処方が本当に必要な場合は、目標部位が減弱し、追加処方が適応の場合、完全に消失します。たいてい逃げてしまうような反応の場合、追加処方をしても完全には消失しませんので、最初の処方に間違いがあったと考えるのが普通です。

何を目標にして治療し、何を選ぶのかというのは本当に難しい選択なんだなと思います。気の診断なら私のような漢方薬に詳しくない者であっても即座に優位を決めることができます。これが強みですね。

何年漢方薬をやっていても、こういう具合に即座に反応を検出することができないと時間がかかり過ぎてしまい、結果的に訳がわからなくなってしまうことがあるのではないかと思う程、膨大な量のパターンがありますが、それを調べられるのは気の診断だけなのではないかと思います。是非気の診断(筋力検査)の考察を見て、考えてみて下さい。きっとヒントになると思います。



12 月
07
Filed Under (今日の記録, 漢方薬) by omisono on 07-12-2010

前回は漢方薬について書きましたが、時間に余裕のある時に少しずつ研究をすすめていこうと考えています。
私の解釈は、鍼灸も漢方も独自の解釈なので、常識的とは言いづらいのですが、本には書いてない見方なので、ヒントになる方もあるかもわかりません。

漢方に対する常識的な知識が少ないというのは、ええ!! と思わせるような方法を平然とやってしまう可能性がありますので、おかしいなと気づいた専門家がいれば教えて下さい。

1週間前に腰痛を起こし、足の痺れがある男性
解剖学的な反応を調べると血管系の異常があり、 呼吸循環系、消化器系、泌尿器系をわけると泌尿器系の反応が強いため肝. 腎を補い自然治癒力を高める方法を考えました。

補腎、滋陰を目標にして六味丸、八味地黄丸 四物湯 あたりが適応だと考えました。八味地黄丸と六味丸を選択しましたが、ツムラの7番、87番を順番に置きました。この漢方薬を手に置くと腰の動きがよくなり、血管系の反応が消去された。他にも舌所見や髪の質等々腎虚的な状態を示す所見はありましたが、気の診断で全て決定しました。決定するのは、脈や舌、腹診等をしなくても1分以内でできますので、簡便な方法だと思います。

ちなみに87番を置いてから7番を置くと効果が半減します。順番を間違えるともの凄く緊張する場合もあるのですが、この場合、同系の処方なのか酷くは緊張しません。

7、87と書いた紙を順番にして二つに折って左のズボンのポケットに入れてもらいました。持った時と同様の状態になったことを確認したのでこれだけでも効果があると判断しました。この紙は2時間程ポケットに入れて破棄してもらうことにしています。
漢方薬は出すことはできないので、紙に気功治療をし、それを持って帰ってもらうことで効果をあげることができますが、そんな馬鹿なと思う方も多いと思います。漢方も鍼灸も基本的には気を扱う医学です。気は意識ですので、気を紙に転写することぐらいは何の苦もなく行えることです。それによって症状が改善するなら、それも一つの治療法だといえます。

基本的な裏寒反応が消失した状態で鍼治療を行い、動きの悪かった腰が一気に改善し、痺れもなくなりました。基本的な状態を補腎、滋陰に絞って調整したことが良かったと思います。

漢方薬の基本的な攻め方の防衛剤としての調整を行った訳ですが、気の診断と組み合わせると即座にその人の体質も把握することができるので、非常に役立ちます。鍼灸治療に漢方薬の考え方を取り入れることはとても有効ですが、単純に本を読んでもなかなか理解することができないと思います。やはり身体の状態をその場で観察できる方法でないと経験を積むことが難しいのではないかと思います。気の診断は、それを行う簡単な方法です。ただ気をつけなければならないことは、適応だと思っている漢方薬でもそのマイナス面があるということです。多分同系列の四物湯を手に持っても血管系の反応は消去されたと思いますが、他に異常反応がでてくるようです。胸部や前頚部に反応がでてくれば、四物湯を処方した場合の追加処方が必要となると思います。これも即座に判断することが可能です。

方法は簡単です。71番を手に置いてもらって、血管系の反応を調べつつ、顔面部から前頚部の反応を再度診れば良いのです。その時の条件は当然異常反応という広義の異常で良いでしょう。漢方的な考えを取り入れてまず何をすべきかを決めておくと治療の目標がたちやすいといえます。そのためにも漢方薬の勉強は鍼灸師でもしていく必要があると思います。



12 月
04
Filed Under (今日の記録, 漢方薬) by omisono on 04-12-2010

様々な薬を身体に近づけると身体が緊張したり弛緩したりするという現象があります。この現象によって適不適が判断できるのですが、普通は一つの筋肉の緊張と弛緩のみによって判断するのですが、私は一つの筋肉だけでなく全身の筋肉の状態を観察します。全ての筋肉を徒手筋力検査のような方法で調べていたらきりがないので、タッピングや皮膚張力検査といった簡易な方法で全身の緊張を探ります。この方法なら全身を調べても一分もかかりません。慣れてきたら直接触らなくても空間上で判断することも可能になってきます。

全身を調べる良い点は、一つの筋肉における緊張と弛緩ではわからない細かい状態が観察できることです。またイメージングを切りかえることによって、効果がどの深さまで到達するのかを判定することもできるようになってきます。

まずは何かの目標となる異常を見つけることが先決です。何故ならどんな異常に対して、漢方薬を処方するのかということが問題になってくるからです。漢方の考え方は鍼灸治療にも共通する部分があるので、知っておくと非常に役立ちます。ただ、漢方薬の本を隅から隅まで読んで熟知しているから治療が可能かというとそう簡単ではありません。

私は、その問題を解決するために筋力検査を使っています。人によって様々な反応を示しているので、常にケースバイケースとなるのが鍼灸治療や漢方治療の醍醐味です。あるアトピーの患者さんを例にとってみて、その反応を調査し、治療した一部を紹介致します。

女性で30代後半のアトピー性皮膚炎の患者さんでしたが悪化し、顔に赤みとかゆみがでていました。何らかの体力低下があるはずだと思い、漢方的な調べ方を筋力検査で行ってみました。まず目標にしたのが裏寒反応です。

漢方の基本として

A.裏寒の治療を最優先
B.脾胃を整えることが治療の要
C.補ってから攻める、温めてから下す。

という原則があるらしいです。これは鍼灸治療でも同様の考え方をしますが、漢方ではそのものに対して直接投薬していくような感じがあります。

まず筋力検査で裏寒の場所を特定しました。そうすると左臍下から恥骨、大腿内側、下腿内側、左臀部(仙腸関節下部から尾骨付近)、大腿後内側から膝内側、下腿内側からアキレス腱部までに裏寒証がありました。大腿骨、脛骨、腸骨、仙骨にまで達する冷えが存在し、胃腸にも冷えが存在しています。表と裏の違いは、筋肉の上の反応か下の反応かで判断しています。骨、内臓、膜は裏証と考え、皮膚は表証と考えます。筋肉や腱は表でも裏でもない(どちらにも含む存在)と考えて判断しています。漢方の基本である裏寒、脾胃、補って温めるものの裏寒、脾胃の反応が左側にのみでている状態と判断できます。

意識を切りかえ、タッピングを行えば1分以内にはその判定ができるのがタッピング法の良い点です。裏寒のファーストチョイスは人参湯だと思いますが、人参湯では大腿骨の冷えの反応は消去できませんでした。合方か追加処方でそれを調整できるかもわかりませんが、一包で調整するには不適でした。漢方の基本Bである脾胃を調える方法の漢方薬で六君子湯は骨の冷えも調整し、胃腸の反応も調整する感じで作用するようです。しかし、胸部に反応が出現してきます。

ここが一つの筋肉のみで調べる方法との違いです。一つの筋肉だけを調べると六君子湯はかなり適応能力が高いと判断できるはずです。しかし、マイナス面もあり、胸部に異常反応が出現してきたのです。このあたりはどんな漢方薬の本を読んでも書いてないかもわかりません。適応することばかりで、その薬の反作用のことはことこまかく書いてある訳ではありません。そういう場合表にでてきた胸の反応を知っていれば追加処方によって消去することができると思います。しかし本を読んだだけで処方すればせいぜい六君子湯に突き当たることぐらいしか想像できないと思います。もちろん経験のある漢方医の場合ならすぐに適応を見つけるはずです。しかし、その裏に起こることまでは予測できなかったりするはずです。

そこで小建中湯と黄耆建中湯で適応を調べてみることにしました。反応を消去し、なおかつ他に反応が出現しない条件を兼ね備えているのは黄耆建中湯でした。足の冷えと胃腸の反応が消去され、胸にもどこにも反応がでなかったのです。つまり最適処方だといえると思います。

本を読むとからだが冷えやすく、胃腸が弱く、皮膚の弱い小児に。と書いてあるので、この患者さんの場合、黄耆建中湯を選ぶことはないのではないかと思います。小児でもなければ冷えと胃腸を調整するということだけでは、この処方には行き当たらないと思います。

私は漢方の専門家でもないし、漢方薬を処方する資格もありませんが、鍼灸治療の解釈を深めるためにこういう研究をおこない、鍼灸治療の確認に使っています。それなので、この処方が絶対とはいえませんが、かなり詳しく調べることが可能です。またこういう解釈ができれば、漢方薬を扱う方にとっても非常に明快な答えを得られるようになってくるのではないかと思います。

漢方薬の基本のABC的な発想のみで、ある程度の反応を消去できる処方に行き当たることができたということは鍼灸治療を行う上で非常に有益な情報だと思います。なぜならその方が小児が示す状態になっているほど冷えによる体力低下が起こり、胃腸を崩していると判断できるからです。胃腸を調え、慎重に刺鍼しなければならない方だということがわかります。

また黄耆建中湯のタイプと小建中湯のタイプ、六君子湯のタイプというのも後々身体を診ただけでわかるようになってくるはずです。それによって刺鍼の方法を変えることもできるという訳です。

経験は本から学べるものではありません。しかし、ただ経験しただけではホントの意味での経験ではありません。理解しながら経験を積み重ねることでより創造性の高い直感へとつながっていくのです。闇雲に長年やっているから経験があると思ったら大間違いです。経験とは理解しながら創造性を高めている時のみ経験値が高いといえるのです。漢方薬の研究もまだまだこれからなので、理解を伴う経験をしつつ創造性を働かせて、私なりの処方ができるようにしていこうと思っています。今後の大きな研究課題だと思っています。



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