歩行は、ただ歩くだけで良いでしょうか?
人体の構造上歩行をするとどんな作用があるのか、正しい歩行とは何かを考えると一般的な常識とは違う問題が浮かび上がってきます。
歩行の利点
血流が良くなったり運動機能が活性したりという良い側面があります。
しかし、歩行をしている患者さんの状態を観察していると面白いことに気づきます。例えば、糖尿病になったから医師から歩行をして軽い運動をしなさいと指導され行っている人を見かけるのですが、必ずしも運動の効果があがっていないと思えるある一定の変化があるようです。
運動開始初期
気分が良くなった。血圧が下がった。手足が冷えなくなった。太り気味だった体重が減少した等々の効果があったりします。
運動開始から数年
それはとても良い効果だと思うのですが、この効果は、歩行を続ければ必ず持続するとは限りません。1年程毎日30分程歩行をしていたら、足が痛くなってきたということをよく聞きます。そしてこういう痛みを起こした人は、なかなか治らないことが殆どです。湿布を貼っても整形外科や整骨院に通ってもなかなかよくならないのです。
また、最初は減少していた体重が減少しなくなり、一定の体重になったのは良いのですが、 妙に下半身に肉がついてきたというような人もいます。沢山歩行をしたから健康になるのかというとそうではないということを暗黙のうちに身体があらわしているのですが、ある理由で運動を止められなくなってしまうのです。
その理由の一つに、精神的な問題です。毎日運動を続けていると、少しでも休むと気分が悪くなったり、仕事で歩くことができないと不安になったりするのです。これはあきらかに運動依存症だといえると思います。
運動依存になると、歩かなければ不健康になるというような思考ができあがったりするのです。
どんな良いことでもこういう図式になると精神が不健康になります。精神が不健康になると必ず肉体的には姿勢の変化が起こります。
身体を猫背にして一生懸命散歩をしてる高齢の方を町で見かけると、そんな苦しそうに歩くのなら止めた方がいいのでは・・・と思ってしまいます。 運動をする時に一番大事なことは、精神も健全でなければなりません。
若い時は筋力もあるので、少々負荷をかけても身体が壊れることは少ないですが、高齢になってくるとちょっとした身体の不正な動きが命取りになったりするのです。また歩行のような高負荷でない運動の怖いところは、身体の動きに不正があるのに気づかずに続けていると、金属疲労と同じように、徐々に破壊が起こり、なかなか治らないという現象が起こることです。
つまり、疲労骨折のような症状も起こってきたりするのですが、痛みがでてくるまで、それに気づくことがないというのが現状です。骨にだけ負担がかかる訳ではなく、筋肉にも内臓にも影響が起こります。特に末梢循環の悪い人で足の末端に循環不良のある人は、感覚も鈍いので、歩けないぐらい痛みが起こらないと症状に気づかない人が殆どなのです。
これでは本末転倒で、運動をする意味がありません。私の友人も長い距離を歩いているのですが、上半身はあまり太ってこないのですが、下腹部だけが妙に太くなっているのに気づきました。何かの症状が起こるのは目に見えている状態です。何故なら正しい運動をしていて、下腹部がでてくる訳がないからです。全ての動きは下腹部周辺から起こります。
こういう人は、疲労骨折までいかなくても、足首や足の指がカチカチに硬くなってきたりします。本来運動をしているのですから、足が柔らかくならなければいけないと思います。何故なら循環が良くなっているはずだからです。しかし、歩いていない人より足がカチカチになってしまうケースが多々あります。
カチカチになるのは、筋肉が発達しているのではないのです。筋肉が発達し、力を出せる筋肉は、運動していない時は、張りが少しありますが柔らかいというのが正常な筋肉だからです。そういう選手は必ず記録が伸びます。しかし、足がカチカチになっている選手は、頭打ちし、記録が伸びないことが殆どです。これと同様に、正しく歩いて運動をしている人は、必ず足の指や足首、ふくらはぎが柔らかくなってきます。
足がカチカチになる人と柔らかい人では何が違うのでしょうか?
私がいつも指摘している正しい動かし方と関係があるのです。正しく動かすと筋肉は柔らかくなります。不正な動きをすると硬くなるのです。それでは不正な動きはどういう動きかを筋肉の状態を観察しながら確かめていくことにします。
次は正しい立ち方を説明します。
つづく・・・