10 月
19
Filed Under (解剖学的な穴反応) by omisono on 19-10-2010

前回の記事では、廃熱について書きましたが、熱が関節の運動によって、熱を逃がしているという考えでした。これらは、何度も何度も圧痛を確認し、圧痛の出やすいところを探り、その圧痛を刺激することで症状の変化を捉えてきたものばかりなので、間違いはないと思うのですが、今まで何度も書いてきたように単純に刺激するだけでは、効果が薄いといえます。関節の構造を理解し、このような経路があり、その関連系を刺激しているとイメージングしながら、圧痛点を刺激しなければ、正しい効果があらわれません。

肩関節の痛みが咽や頭蓋骨底部の異常な熱によって起こるといわれても、信じがたいところがあると思いますが、現実にそれを刺激することで、多くの変化が起こるのを目の当たりにしてきました。肩の痛みがあるから肩が異常だと考えるのは、どうしても腑に落ちません。痛みのあるところしか問題にしないのは医療の衰退につながると思います。それは、関節の痛みについてだけいっている訳ではなく、内臓の変調にも当然かかわってくるといえます。

熱を肩関節の動きで廃熱しようとしても肩関節が正しく動いていない(熱が貯まるような動きしかない)場合、痛みを起こすだけでなく、胸骨や肋骨、脊椎にまで影響を及ぼします。下図の経路は主に圧痛点のあらわれやすい経路といえます。経絡だけではなく、廃熱運動における経路という訳です。特徴的なことは、一つの骨を熱が伝わっていく場合、直線的に伝わるのではなく、捻れを伴いながら伝わっていくということです。経絡も異常を起こすと蛇行したり、幅の縮小、拡大が見られたりしますが、廃熱運動経路も同様に蛇行、幅の縮小、拡大が見られます。これは関節の構造上そういう伝わり方をするのだと思います。経絡の蛇行や幅の縮小、拡大も決して無縁ではないと思います。



幅の拡大したところは、普通に圧痛として確認しやすいところですが、イメージングをしっかりしないと、この経路の詳細は把握しきれません。

前回の記事のように肩甲骨が外転上制すると対側の足に重心がかかると書きましたが、この体重移動は重力に対して垂直な力ではなく、捻れるような形で波打つ力となっています。つまり、体重のかかり方に過不足が起こりやすいということです。単純に右足に荷重されているのか左足に荷重されているのかという測定では、あきらかにできない問題です。捻れを起こした体重は、足の裏の後方(踵側)外側に力がかかると思います。踵を中心に考えると後外側にかかった力とは反対に足首内側から母指方向にも力がかかりますが、ご存じの通り、土踏まずがあるので中足骨付近の一点には力がかかりますが、足の指がうくような形になり、本来の体重移動とは違う力がかかってしまうので、左右の体重配分という形では割り切れません。(左右に体重計を置いて重心を見極める方法がありますが、これはあまり意味があるとは思えないということです)

重心の捉え方は、3次元的に捉え、前後左右上下で全体的にどういう重心かということを考えなければなりません。そうでないと、私が以前から言っていますが、最初から背骨が曲がっている側弯のような人はどうなるのか?
経年劣化で曲がってしまった人も同じ重心にならなければならないのか?
という疑問が起こってしまうからです。バランスとは、その人にとってより最適な重心をとれるかどうかです。あまり無理強いすると余計に身体に痛みを起こしてしまう結果になってしまいますので、ポイントだけ抑える必要があるということです。

関節で廃熱するという考えは、関節が正常に機能していないといけません。五十肩の説明のとおり、熱を受けすぎ、関節の構造に変化が起こってしまった場合、関節で熱を逃がすということができない状態になってしまいます。こういう場合は、バランスをとってもすぐに痛みがなくなる訳ではありませんので、経過観察が必要になってくるのですが、強烈な痛みは、治療後もやや沈静化するぐらいが普通です。しかし、このやや沈静化という状態が後々非常に良い結果を生むことになるのです。

咽や歯周組織で起こった熱は肩にまで伝えられ、全身に伝わると書きましたが、肩に伝わると重心に変化が起こりますので、全身に影響を与えるというのは今まで説明したとおりですが、全体の体力を上げようと思った場合、咽や鼻、耳、歯周組織等々の口腔や鼻腔などに炎症を起こさない注意が必要といえます。つまり「風邪は万病の元」ということをいっているのです。

口腔や鼻腔は外界にさらされ、細菌感染やウィルス感染の発生場所となっている訳ですから、ここで炎症が起きなければ、全身への影響は限りなく少なくなるといえる訳です。頭寒足熱は、そういう原理から起こった理論です。足を冷やさないようにすることは、頭頚部への熱を引き起こさないようになるということです。足の循環が良くなれば、余分な熱が頭に貯まらず、全身の循環が良くなることで、感染を起こしてもそれが全身に影響を与えず、局所だけに留まって、やがて治まっていくという意味でもあります。

これを昔の人は、頭寒足熱とか風邪は万病の元といった表現で伝えたかったのだと思います。素晴らしい考えだと思います。

特に何ともいえないようなジワジワ続く関節の痛みなどに関しては、身体が冷えると余計に酷くなりますが、それはこのような構造があるからです。痛む局所だけ観察しても何の成果もあげられません。ましてや湿布をベタベタ貼ったところで解決の目処がつかないのは当然です。

10枚ぐらい湿布を貼って、来院される方がありますが、湿布も薬剤であり、皮膚からも吸収されます。だいたい5枚貼ると1錠飲んだことと同じぐらいの効果があるとされますので、10枚貼れば、2錠飲んだことと同じで、ゆっくり皮膚から薬剤が吸収されるということは、常に薬剤が全身に浸透するという結果につながり、皮膚にもダメージが考えられます。身体の状態から考えると常に異物を脹り続けることで関節可動域も変化し、何の効果もないどころか、害になっているともいえます。

湿布を剥がした瞬間に楽になったという人もいましたし、何よりも10枚貼って、2錠飲んだことと同じ状態になり、そのうえ痛み止めを飲んでいたら、消化器系の粘膜がやられて当然ともいえます。年間で数人は、消化管出血ということで死亡することもあるともいわれています。

湿布といえども薬剤には違いないので、誤った使い方をすれば命に関わることになるということも知っておかなくてはなりません。ただ、痛みがあるからそうしてしまうのであって、痛みがなくなれば、そんなことはしなくなるということです。そんなふうにならないように指導してあげることは我々の努めだと思います。

このブログに書かれた全ての内容は、私独自の考えなので、これらの文章は転載禁止とします。転載希望の方は、一言、メールでお知らせ頂き、御薗治療院のブログからという記述を加えて頂きたいと思います。



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