乳様突起の前に小さな突起が脳底にあります。乳様突起のところで示したように廃熱されるために必要な突起だといえます。 この茎状突起と結ぶ筋肉は舌骨という馬蹄形の骨で、甲状軟骨の上に位置した骨とつながる茎突舌骨筋、咽頭部とつながる茎突咽頭筋があります。 この事実から考えると頭蓋から廃熱された熱が舌骨と咽頭部に伝わるということです。乳様突起部周辺で圧痛が起こると舌骨や甲状軟骨にも必ず圧痛が起こります。爪先で軽くつっつくように刺激しても痛みを感じたりするのです。噛み合わせが狂うと頚椎の3番から4番あたりと舌骨に変位が起こるといわれていますが、単純に位置関係から起こるだけでなく熱の出入りということから考えても、その変化が起こることは正しいといえます。 つまり、頭蓋骨で起こった熱を乳様突起や茎状突起の先端から筋肉を通して咽や胸部、鎖骨部に伝え、冷やされることで、直接脳の熱があがり過ぎないようにするために熱を機械的な構造で変換しているということです。だからその中のどの位置関係がおかしくなっても、これらの器官には影響がでるといえる訳です。噛み合わせの異常は、歯だけの異常ではないということを物語っているのです。また鎖骨に伝えられた熱が大きすぎると、鎖骨を通って、肩甲骨や肩関節にまで到達します。これもトリックモーション検査法によって確認できますし、圧痛を観察してみても鎖骨から肩甲骨の外側に異常がでているのを確認できます。 歯のかみ合わせによって五十肩が起こりやすくなるのは、このためだと考えています。骨に熱が伝わり、その熱を関節の機械的な運動によって、循環させる働きがあると言う訳です。 鎖骨内端に熱が伝えられる時の圧痛の出方に注目すると、鎖骨全体に圧痛がでるのではなく、鎖骨内端の前方と鎖骨中央の後方、鎖骨外端の前上方に圧痛が出現するという事実があるからです。つまり鎖骨の内端と外端で対角線上に捻れをおこしながら機械的な運動に変換されていくということを意味しています。 つまり、熱が鎖骨に伝えられ、肩鎖関節、胸鎖関節の捻れに伴う運動に変換されることで肩甲骨に伝わり、身体全体で廃熱しようとしているということがいえると思います。肩の痛みを訴える人には必ず患側にこのような鎖骨の圧痛が出現します。酷い状況になればなるほどその範囲が大きく、少し触れるだけでも強い圧痛を感じたりするのです。そうすると肩甲骨は外転上制するような形になり、猫背の状態になってしまい、肩甲骨の動きが徐々に制限されてくるということになります。肩甲骨がロックすることで、上腕を90度以上あげることができなくなってしまうということになるのです。通常でも肩甲骨を手でロックさせると上肢は90度弱しかあがりません。これは関節の構造上そうなっているのですが、90度以上は肩甲骨の運動が連携していないとあがらないようにできています。 立位で右肩甲骨を左手で固定し、右肩を90度近くまで上げた時の右足への体重の変化を観察すると若干右足にかかる感じがしますが、左手の固定をゆるめ、肩甲骨を僅かでもあげた瞬間、右足への負荷は大きくなり逆に対側の左足に重心が移るのを確認することができます。 これは、肩甲骨の位置が全身に大きな影響を与えているということを物語っています。つまり、肩甲骨の動きの状態によって、全身に運動が起こるという訳です。 肩甲骨の運動の影響はだいたい胸椎の4~5番あたりと肋骨に伝えられます。肋骨から胸椎に伝わった動きは僅かな捻れを起こし、身体を対側へ捻る動きが起こります。つまり右肩甲骨を外転上制すると体幹を左へ捻った時と同じ体重移動が起こり、対側の左足に体重がのっていくという状態に変化します。肩をあげただけでは、右足にしか体重がのりませんが、肩甲骨をあげた瞬間に左へ体重がのるという訳です。 ここまでハッキリとした変化があらわれると胸骨の中央に圧痛が起こり、心臓や肺との関係が中心となってくるように思います。そうすると夜間痛が酷い五十肩様症状がでてくるということになるのですが、これは、循環系に影響を与えるからでしょう。 ご存じのとおり夜間痛は、うずくような痛みで耐え難いものですが、これは、血管が収縮したりするときの痛みに似ていると思います。偏頭痛などの筋肉性の頭痛などもこのようにズキズキとうずくような痛みですので心臓や肺、大きな動脈や静脈の変化と捉えることができると思います。 このような観察ができるのはトリックモーション検査法を利用した「熱」イメージでしか行えないと思います。構造と筋力検査で検出される結果を考え、臨床に役立てるというのは私の考えの中ではとても重要な考えなのです。構造と反応という観点から人体を捉えるということは今まであまり行われてこなかったことだと思います。 この理論をもっと発展させたいなと考えています。 このブログに書かれた内容は、私独自の考えなので、これらの文章は転載禁止とします。転載希望の方は、一言、メールでお知らせ頂き、御薗治療院のブログからという記述を加えて頂きたいと思います。
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