脈診を気の診断に利用する方法は、前回書いたとおりですが、何の条件付けも行わないというのがテーマでした。しかし、それぞれの治療法によって脈は大きく変化します。つまり治療法によって脈が違うということです。
寸口の脈だけを頼りに治療をしても何の治療法における脈なのかを意識していないと何の条件付けも行わない脈診と同じ結果になってしまいます。そしてその結果は、術者個人の状態によって変化もするし、その人が得意とする治療法によっても変化します。経絡治療の本治法をメインに治療を行っている人は、脈もそのようにでやすいと思います。何の経験もない人の場合、脈がコロコロ変わってしまったりもするので、なかなか一定しないということもあります。
難経の六十九難や七十五難の治療原則を元にして治療を行う方法は、案外高度な方法なので、簡単な実験から入ってみて下さい。
条件付けとしては、常にエーテル界層だと条件付け、気水血をそれぞれイメージングしながら、上中下を観察しながら気の診断を行います。「気」の異常反応があるところは身体の上部(首から上)か中部(体幹、四肢)か下部(腰から下)かというイメージングで行います。「気」が実なのか虚なのかは別として、過不足のあるところというイメージが良いでしょう。過不足のあるところという条件付けなら「虚」でも「実」でも反応が起こります。「虚」だけだと虚しているところしか反応しませんので、まずは過不足という条件付けが良いでしょう。
「気」の反応で上という反応が出現していたら、「後頭部や後頚部」なのか「左側頭や側頸部」なのか、「顔面部や前頚部」、「右側頭部や側頸部」なのかを調べれば「気」の存在部位はわかります。「気」の過不足部位がわかれば、その過不足部位と関係する脈(治療脈と条件付けて下さい)を調べます。
この時に寸関尺の脈診を行うのですが、「気」の過不足部位は、より明確な位置を示しておくと良いと思います。例えば、左側頭部の前側から側頸部あたりという感じです。左側頭部に反応があっても、よく見ていくと顔面部までつながっている場合もありますし、それが胸部までつながっているというようなことも起こります。
近づいて見た場合と遠ざかってみた場合で反応の違いが起こるのはこのような現象があるためです。大まかには上左という反応があってもよく近づいて体表面を観察していくと、上左は一部で、それが中前や下前までつながって存在している場合もあります。もちろん上左は経気線の背が高い反応ですから、そこを狙えば十分効果はあると思います。
体外の経気について注意する必要があるといっているのは、こういうことが現象としてあるからです。意識を変えると今まで存在しなかった反応が存在していることに気づいたりすることがあるので、それにも注意をし、より明確な反応をみた方が後の脈診の結果も変わってくるということなのです。
それを怠ると明確な治療におけるイメージングが行われず、明確な効果があらわれないこともあります。手順をしっかり踏んでやった治療法は明確な答えがでてきます。患者さんの方から頭がスッキリしてきたということをいってもらえたりすると、正しい診断だったということで自信をつけることができます。このイメージングを明確に行わないといつまでたっても効果があらわれないので、このあたりはキッチリ練習しておくと良いと思います。
このような手順で、気水血の過不足部位をそれぞれ調べて、その関連経脈を脈診してみて下さい。そうすることで一つ一つが明確になってくることと思います。
「気」の過不足、「水」の過不足、血の過不足という条件付けで行った異常部の反応は何らかの症状がでていたり圧痛が強かったりするところです。関節可動域も狭くなっていることもあり、それが健康状態を低下させていると考えれば、どんな症状や病気であっても、狙うのは、そこを狙っていけば良いということになるでしょう。
耳鍼でも高麗手指針でも局所の一点を見つめると全体があらわれてくるということがありますが、「気」の過不足のある部位には、必ず十二経脈が関与しています。つまり全身を流れる経脈が局所にあらわれているということです。
O-リングテストによって脳を検査し、脳を調整する方法があります。「脳のメンテナンス 元気脳 脳健康 その病気は脳が原因でした」 豊岡憲治著 グラフ社 という本がでています。脳を中心に考え、脳の機能と症状を明快に分析しています。とても良い本だと思いますので、一気に読んでしまえると思います。脳の状態を観察する方法を紹介している本ですが、これも脳という局所を見つめていくと全身と絡んだ反応が出現しているということを紹介した本だと思います。
この先生、ブログにも面白いことを書いています。手にも足の経絡があったりする人がいるということを書いています。体表面の観察と体外の観察では違うので、そういうことが起こるのは当たり前だと思っていますが、この少ない症例の方は、体外経気における足の経絡が手の体表面にでているという方だろうと思います。
また鉄の蓄積が脳や様々な臓器の働きを低下させるとも書いていますが、気水血の「血」が反応する部位だと解釈できます。「血」というイメージで、それが欝滞するところを調べると合致するのではないかと思います。そして「血」でも「水」よりの「血」の反応と「気」よりの反応というのもあり、順位が関係してきますので、順位を考慮しながら観察すると面白い結果がでてくるのではないかと思います。つまり「血」「血」という反応と「血」「水」という反応は違うということですね。
ここでは、まず基本的な気水血それぞれに関して捉えるということが大事だと思いますので、そうしてきましたが、より詳細に調べようと思うと、そういうこともできます。「血」では反応しなくても「血」「血」では反応する部位というのもあります。気水血の反応で弱い反応しか検出されない場合、こういうことも問題にしてみるとより詳細な結果が返ってくると思います。
是非やってみて下さい。