9 月
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Filed Under (筋力検査をマスターしよう) by omisono on 18-09-2010

気の診断をしていて、一番迷うのが、何を治療の対象にしようとしているかということだと思います。

これは、どんな治療法であっても重要な考え方です。

例えば、症状は全くありませんという患者さんが来たらどうするのか?

現在際だった症状(関節の痛みや緊張等)が全くない内臓の症状の人が来たらどうするのか?

アトピー等の皮膚障害の人が来たら何を目標にしていくのか?

こういう患者さんに対しては、色んな考え方で治療対象を作ることになると思いますが、どういうストーリーを作っていくのかの手がかりを気の診断で見つけていくということが重要です。

例えば、気水血、虚実等々の異常を示す異常経気が、おおまかにどこに存在しているのかというイメージを持ち、調べてみます。

首から上、体幹、上肢、下肢という形で調べると良いと思います。体幹に反応があれば、背部、左側面、前面、右側面を選んでいくとだいたいの場所を観察することができます。体幹で前面の反応なら腹部や胸部周囲をタッピングや筋力検査で異常反応のある場所が緊張という条件設定で調べていきます。この場合、表面にあらわれてくる異常なので、それが主役かどうかはわかりません。腫瘍が胃にあっても上腹部の反応がでるとは限らないからです。一番表層にある反応であったり、見つけやすい反応であったりするからです。見つけやすい反応は、まず最初に調整しておくというのが基本です。そうすると病態がハッキリしてきます。

腰の痛みを訴えていても色々な症状がありますが、ぎっくり腰のように動けないものから、動くのは大丈夫だが、動かしはじめだけが辛い、何もしなくても辛い等々色々あります。こういう場合、下腹部から大腿部にかけての反応が強いことが多く、これが最初に調整しなければならないところということになります。

そこで、あきらかな血行不良のある方(舌所見でも脈所見、望診等々でも)でも「水」の反応が大腿後内側のみにでてきたりすることがあります。ここで気の診断が間違いなのかなと思うのですが、全体の反応と最初にあらわれる反応には違いがあります。自分を信じて最初にあらわれてきた反応を明確に除去することが何よりも先になります。症状や病名は頭の片隅においておいて、その人の今の状態がどうなっているのかを観察することが何よりも重要な考えだといえるのです。

この例の場合、「水」のイメージングをしながら、圧痛をみます。この場合、大腿前側のタッピングや皮膚張力を観察しながら、後ろの方へ触診して行きます。



図のような感じで前側から内側面を触診していきながら上から下まで調べてみると、腎経あたりに3㎝程度の幅で異常な反応点(「水」)があることに気づきます。それが下腹部あたりまでつながっています。

このような場合、動いた時の痛みは動かしはじめのみで、違和感がずっとあるというような腰の痛みに強いと考えられます。臓腑の診断ではやはり腎膀胱系の反応であり、「水」「腎」「熱」というようなキーワードが見えてきます。ここからきっかけをつかんでいくのですが、熱でも「水」と関連する熱とただの熱では違いがあります。「水」関連の腎系統と熱関係の胃が共存する場合もあり、脈診における複合脈証と合う形になったりするのです。

経絡治療では寸口の脈(橈骨動脈拍動部)で身体全体の脈を診察するといわれますが、実際には寸口の脈が治本法(全体と関係のある)の脈をあらわしているとは限りません。局所経気の脈をあらわしていたりすると脈診が非常に複雑になっていることがあり、判断に迷うことがあると思います。つまり寸口の脈が局所経気の脈をあらわしていて、一経脈や二経脈の異常とはでてこないで、多数の脈証がでてきて何が主役かわかりにくくなっていたりするのです。寸口の脈だけで全体を把握するのが困難なのは、それが一つの原因であったりします。

上記の例の脈の場合、頸動脈の拍動部で局所経気である大腿内側の脈がでてきたりすることが多く、寸口ではこのような脈証はでません。つまり、最大の治療対象経気である大腿内側の反応が寸口ではあらわれず、頸動脈の拍動部でしかわからないということになれば、順序が逆になって余計に複雑になってしまうということになるのです。

何が主役かというのは、縦横無尽に治本、治標、局所という経気の所在部位を確認しながら脈証を診て、関連経脈上の穴への刺激をしないと矛盾してしまうということになります。

しかし、経絡治療のベテランの先生は、寸口の脈のみで診断し、寸口に局所経気の脈がでる状態になるように無意識の前処置が行われているのではないかと想像します。意識的に行っている方もいらっしゃるかと思いますが、この現象を考えると、いきなり寸口の脈のみで、脈診するというのは余程のベテランの先生でないと難しいのではないかと思ったりします。

無意識の前処置は、術者の体調等によって大きく左右されたりしますので、最初は、一つ一つ手順をふまえて問題を解決していった方が、最終的には、術者の体調に左右されないで診断と治療が可能になってくると思います。ややこしいイメージングと手順が必要かもわかりませんが、ストーリーを作ることを意識して貰えれば、あとは慣れだと思います。

しかし、慣れてくると初めて間もない術者であっても、イメージングがすんなりできるようになれば、治療効果をあげることが可能だと思います。そうすると思わぬところを刺激して、思わぬ効果があったりします。

そういう経験を重ねることで、無闇に刺激をしてはいけないということを思い知ります。そして経絡や穴、イメージング(気)の存在を体感し、それが次の経験に生かされるのだと思います。非常に感動する瞬間であり、体験すればのめりこんでしまうのは間違いないと私は思います。

何が主役か?

このパズルを解くことができれば、大半の治療は終わっていると考えて間違いありません。病態の主役さえ叩いておけば、病が自分から崩れ去っていくのです。その姿を経過観察していくことで、人間の自然治癒力のあり方を知るのです。自然に治ろうとする力というのは、お節介をしないで、その人の力を信じてあげないといけません。術者の信じる力は、こういう経験を重ねることで生まれてくるので、一朝一夕には得ることはできないので、論理的で地道な努力が必要ということになります。

私が気功治療や鍼治療は神秘的なものでもなんでもないというのは、こういう努力を重ねてきたからであり、それをどう治療にいかそうかと四六時中考えているからです。神秘的なものにあこがれたりすることはあると思いますが、そういう夢ばかり見ていると現実は、そう簡単ではないということを思い知らされる結果になると思います。

何度も書きますが、主役が何かを決めることが大半の治療のあり方を決めます。

安易な道はないということを肝に銘じて、とりくんでいって下さい。



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