昨日(2011年10月29日)、兵庫県立のじぎく会館で「第2回地域人権シンポジウム」という催しが開かれ、「マスメディアの人権報道を考える」をテーマに行われた午後からのシンポジウムに、報告者として参加してきました(午前中は木津川計さんの「《都市格》を大阪はなぜ低下させたのか──ハシズムで都市格は上るか」と題する記念講演が行われた。木津川先生のお話はいつもながらぐっと引き込まれてしまいますね)。
「地域人権シンポジウム」というのは、神戸市内のいくつかの団体が実行委員会を作って主催したものですが、中心になっているのは人権連神戸人権交流協議会(旧全解連神戸市協議会)です。わたしの報告や討論の様子についてはまた別の機会に書くとして、いつものように時機を失する前に取り急ぎひとこと述べておきたいことがあります。
わたしが出席した午後からのシンポジウムで、司会をつとめた人権連の森元憲昭さんは冒頭、『週刊新潮』『週刊文春』各2011年11月3日号の新聞広告を紹介されました。両誌とも大阪府の橋下徹知事に関する特集を組んでおり、〈「同和」「暴力団」の渦に飲まれた「独裁者橋下知事」出生の秘密〉(『週刊新潮』)といった見出しが躍っています。
森元さんはこれらの広告を紹介し、「部落」に対して人々の一部に残る否定的な感情をあおり立てる姿勢だ、雑誌が売れれば何でもいいのかと批判されました。
まったくその通りだと思います。いや実はわたし自身現時点でも掲載された記事自体は読んでおらず、そういう段階で断定的なことはいうべきではないのかもしれませんが、新聞広告を見る限り、非常に不愉快な気持ちにさせられます。
大阪府の同和行政において、同和奨学金の返済問題などいまだいくつかの大きな問題を抱えていることは事実です。しかし、知事が「同和」に関係する出自を持とうが持つまいが、家族親戚がどういう経歴を持つ人間かなど、まったく関係のない事柄ではないか。
わたしの記憶では、橋下知事がこれまでの府政運営で、「同和」やあるいは「解放同盟」の名をちらつかせて反対意見を押しつぶしてきたという話は聞いたことがありません。また、橋下知事がこれまで自らを「同和関係者」だと公表したという話も知りませんね。
(追記)「橋下知事がこれまで自らを「同和関係者」だと公表したという話も知りませんね」と書きましたが、この文章を掲載したあと、ネットで検索したところ、橋下氏は「自分は同和地区で育った」といった趣旨の発言を何度かしていることを知りました。わたしの認識不足でした。(追記終わり)
政策や実績を批判するのならわかるが、出自を含めそれらと関係のない身の上を暴きたてるのは、人権侵害と言わなければなりません。本人が「自分は部落民だ」と自称することについてわたしはとやかく言うつもりはありません。しかし他人が、批判する目的で「あいつは部落だ」なんて決めつけるのは完全に間違っていると思います。
こんなことを暴露されては、橋下氏の家族はたまらんだろうと思います。
シンポジウムでは、森元さんは広告内容について批判するだけにとどまり、隣に座っていたわたしもただ黙ってそれを聞いているだけでしたが、そういう態度は不十分だったと少々反省します。記事内容を詳細に確認した上でのことですが、「こういった報道姿勢については少なくても運動団体としては断固抗議すべきだ」といったことを提案すべきでした。
くり返しますが、記事本文を読んでいるわけはないので、もしかしたら上に書いたことは的外れな指摘なのかもしれませんので、その点留保して受け取っていただけると幸いです。
関連情報
【花田紀凱の週刊誌ウォッチング】(334) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/111029/bks11102907540001-n1.htm
「子供の権利は配慮されるべき」 橋下知事が雑誌記事批判 - 速報:@niftyニュース
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/jcast-111605/1.htm
ところで、藤田敬一さんのホームページをさっきのぞいてみると、『週刊新潮』の同じ号には、震災被災地での暴言・放言・恫喝で大臣の座を追われ、地元福岡の病院に駆け込んでいた松本龍議員が、国会に戻ってきたことを巻頭グラビアで報じているそうです。
藤田さんも書いておられますが、松本氏は自らの問題発言・問題行動についてまともな釈明をしていないままです(「九州人だから、血液型がB型だからあんなことを言ってしまった」と説明したのみだったのでは)。
また、部落解放同盟福岡県連は松本氏が辞任したあと、県連名でこの件に関する「見解」を発表した際、県連書記長は「(療養から)一日も早く回復して釈明と謝罪をすることが大事だ」と言っていたはずです。県連は今、病から回復した松本氏にどういった指導を行っているのか。首に縄を付けてでも被災地に引っ張って行って、県民に謝罪させるべきではないのか。
現実問題として、被災地の住民は、あんな大臣のことにいつまでも付き合っている暇はなく、今さら来られても迷惑でしかないでしょうが、解放運動の幹部として、あるいは解放運動団体としてのけじめを、このままうやむやにすませていいわけないとは思いますがね。
マリードフットノート » 松本龍氏は人権侵害事件の被害者か──解放同盟の見解について
マリードフットノート » やっぱり問題は「九州人」「B型」発言だったか
10 月 30
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