7 月 27

部落解放同盟中央本部の機関紙『解放新聞』2011年7月25日号に、「松本龍・前復興大臣の一連の言動について(見解)」という記事が掲載されています。解放同盟福岡県連合会の名前で出されたものです。

一般にははやほとんど忘れ去られてしまった感がありますが、言うまでもなく「知恵を出したところは助けるけど、出さないやつは助けない」「お客さんが来るときは、自分が入ってから呼べ。言われなくてもしっかりやれよ」「今の部分はオフレコな。書いた社はこれで終わりだから」などと被災地の知事に対して放言し、復興大臣就任9日で辞任に追い込まれた松本氏が引き起こした騒動に関する、解放同盟の見解です。

昨年9月、環境大臣兼防災大臣就任により解放同盟の役職からは退任していたみたいですが、松本氏は長く解放同盟中央本部副委員長、同福岡県連委員長をつとめ、また過去7回の衆院選挙では、「解放の議席」と称して全国の組織を挙げて選挙運動をしてきた事情があるので、解放同盟として見解を出すことにしたのでしょう。

本日は、この見解の内容を紹介しましょう。

見解は、はじめに「一連の言動について、関係者の皆様を深く傷つけたこと、多くの方々にご心配とご迷惑をおかけしたことに対し」謝罪しています。

ところが次の段落では、松本氏の環境大臣兼防災大臣としての数々の実績、「めざましい活躍の姿を見せてくれ」たことを紹介しています。そして3月11日の大震災以後、防災大臣として毎週被災地に入り、「任務を全うしていましたが、それまでの疲労、とりわけ心労の蓄積は限界を超え、その結果、「気分障害」(九州大学病院の発表)を誘発したようです」と、気分障害(そううつ病)が問題の放言を引き起こしたという見方を示しています。

同紙では、福岡県連のこの見解とともに、松本氏が入院している「九大病院が発表した病状説明」の内容も併載しており、そこには「軽度の躁状態では、気分高揚に伴い、本人の本意とは違うことをつい口走ってしまうこと、普段なら決してしない行動をとってしまうことが多いのです」と述べられていることからもわかる通り、解放同盟としては松本氏の言動は、病気(気分障害/そううつ病)のなせるわざであると考えているようです。

かりに、品性に欠け、被災地の知事らを自分の子分であるかのようなあの放言、また、マスコミを脅しつけたあの暴言が、病気によるものだったとしたら、国民がよってたかってひとりの病人をいじめ抜き、追いつめたことになり、たいへんな人権侵害事件ということになります。

病気だったら何を言って許されるわけでもないでしょうが、松本氏本人、あるいは解放同盟には、折りをみて一連の言動を引き起こした当時の気分障害の症状の詳細を説明してもらいたいものです。

しかし、解放同盟自身、じつは気分障害のなせるわざであると本気で考えているわけではなさそうです。見解の最後でこんなことをいっているからです。「今は本人が療養中のため面談できる状況ではありませんが、体調が回復し、話が交わせる条件を整った時点で、指摘(言動の問題性についての──引用注)をし、猛省を促す所存であります」。

言動の要因が病気であるのなら、悪いのは病気であって本人には責任がないわけです。それなのに、解放同盟は病人であり人権侵害の被害者である松本氏に「猛省を促す」というのは、酷ではありませんか。要因は病気だというのなら、最後まで松本氏を擁護すべきでしょう。

ところで、解放同盟のこの見解のポイントはもう一つあります。こっちの方がずっと興味深いのです。解放同盟福岡県連として、松本氏の言動の何をもっとも問題視していたのかという点です。

見解はこういっているのです。「特に、『九州人だから語気が荒い』や、『B型だから短絡的』の発言は、長い間、部落解放運動の指導者として活動してきた立場の人間として、決してあってはならない発言です」「このような見方は予断と偏見を助長するものとして、これまでの運動のなかで私どもが厳に戒めてきたことです」

見解自体そう長い文章ではありませんが、全体の約3分の1を使って「九州人」「B型」発言の問題点の指摘に費やしています(松本氏の「めざましい活躍の姿」の紹介にも3分の1割いている)。ちなみに、これ以外に松本氏の言動の問題点についての具体的な指摘はまったくありません。

たしかに、「九州人」「B型」発言は、見解が指摘する通りだと思いますが、被災地の住民が怒り、世論が問題にしたのは、そんなところではなかったはずです。解放同盟のこの見解を被災地の人々が目にすると、おれたちをどこまでバカにするのかと、怒りが再燃することでしょう。解放同盟のピンボケぶりには、部外者ながら頭を抱えたくなります。

ともかく、ある意味解放同盟の象徴的な幹部(なにしろ松本氏のそれは「解放の議席」なんですから)でもある閣僚が、よりによって今の日本社会でもっとも窮地に陥っている人たちを踏みつけ、憤らせ、おまけに言論弾圧まがいの発言を理由に、職を辞さなければならないなんて、ずいぶんカッコの悪いことだと思いますね。汚職や個人的スキャンダルでやめるほうがまだましだった。

       *

ふだん、わたしのこのブログへのアクセス数(訪問者実数)は1日100人程度しかありません。それが今月初旬つまり松本氏の辞任衝動の時期は、連日5倍から8倍に跳ね上がりました。ブログに過去2回、松本氏についてどうってことのない短い記事を書いていたのが、検索サイトに引っかかったわけです。

事件については、実に多種多様の人たちが論評というか、批判をしていたため、この上、あえてわたしが何か言うほどでもないと思っていました。また、国民的なバッシングの様相を呈するさなか批判を加えるのも、なんか衆を頼んで「弱いものいじめ」をしているようで気が引けてしまったのですね。今回の福岡県連の見解には疑問点が多いので(そもそもこの問題で解放同盟が見解を出す必要があったのかな)、以上ひとこと述べておくことにしました。

Comments are closed

 
ホットワード 松本龍 人権侵害 事件 被害者 解放同盟
割引クーポンまとめ情報 - クー割