9 月 04

今月8日発売予定の『ねっとわーく京都』2009年10月号に「『差別』の強調は不信と反発を招く──『同和啓発』で方針転換はじめた京都市」を書きました。

このブログで何度か、滋賀県東近江市の一市民による「同和地区所在地問い合わせ問題」について書いています。同誌8月号にも書いています。今回の記事は、同様の事案があれば、他の自治体はどのような対処をするのだろうかということを、取材したものです。大津市、京都市、大阪市、神戸市の各担当者から話を聞きました。

上記の自治体の選定には、大して意味はなく、近隣府県の県庁所在地の市ということで、選んだに過ぎませんが、たった4市だけでもいろんな傾向が知ることができます。

どの自治体とも、基本的には問い合わせには応じないし、必要なら啓発するという姿勢ですが、その後の対応に関してみると、対極の関係にあるのは、大阪市と神戸市です。

大阪市は、8月24日付記事 » 大阪市人権室は、まず自らを啓発せよで触れたように、「待ってました!」とばかりに問い合わせしてきた市民を啓発するために、専用マニュアルまで作って対処しています。

一方、神戸市は、問い合わせの動機がたとえば研究目的、研修目的といった真面目なものであろうとなかろうと関係がない。とにかく「同和」という枠組みはなくなったいま、行政として答えようがない、どこが「同和」かどこに旧「同和施設」があるのか把握していないと、「入口」で突っぱねるのです。

しかし、なんといっても意外だったのが、京都市の対応方針でした。同市は、以前だったらこんな問い合わせがあれば、解放同盟と一緒になって大騒ぎするのが常でしたが、今日では一律に差別だと決めつけず、相手の趣旨、目的によって柔軟に対応することにしているといいます。また問題のある問い合わせについても、行政として啓発はするものの、ことさら騒ぎ立てるようなことはしないと言っています。

そして、「啓発」全般についても、

「心の中にある差別意識というものは、その人の内面の問題でもある。行政が内面に踏み込んでもいいのか。行政の施策だけで解決をはかれる問題でもないことを認識すべきだと思う。行政の考え方を押しつけるだけでは、市民の反発を招くばかりで共感は得られない。また、いたずらに差別を強調したり、市民の理解を得られない特別扱いを続けていては逆効果になる。そういった行政の対応が差別を助長しかねない。これからの啓発は市民の自主的活動を促し支援する方向にシフトしていきたい」

というのが基本方針なんです。

正論ではありますが、行政の、それも京都市の担当者がこんなことを口にするようになったのですね。

今年3月に出た同和行政総点検委員会「報告書」において、「市民啓発」の項目だけは、妙に古くさく、説教調で、従来の行政の立場を踏襲するものを感じていました。でも、実際の京都市の考えは、「報告書」の古くささをぬぐい去っている感じなのです。

これからの問題は、こういった立場を続けてもらうよう、市民が後押しするかどうかだと思います。

わたしは、1992年から京都市の同和行政を取材し続けてきました。市がやっていること、やろうとしていることを期待を込めて記事にしたのは、今回が初めてのことだと思います。

『ねっとわーく京都』は1冊500円。京都市内の書店では販売されていますが、それ以外だとちょっと難しい。購読ご希望の方は、同誌編集部までお問い合わせください。電話075−213−3107

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